僕はこのライブハウスに足を運んだのは、実に5年以上ぶりでした。前回は宇井かおりさんが、インディーズ3枚目(通算6枚目)の「パラシュート」をリリースした時の記念ライブでした。
しかし記憶というものは、いい加減だなと思いました。当時のこの場所のイメージは、小さな喫茶店のような場所で、その片隅で宇井さんが歌を歌っていたようなものでした。
でも実際は、実際は一段上がったモニター付きのステージがあり、特に狭いという感じではありませんでした。
このellmerというバンドは、最近Kunio Kishidaバンドでドラムを叩くことが多い、 SUDAPONYさんのジャムバンドです。彼はavexレーベルと契約しており、「Rockamenco」というバンドでメジャーデビューもしているドラマーさんです。
19時半の開演に先立ち場内アナウンスがありました。「公演に先立ち、お客様にお願いがあります。」と女性の声が始まったので、カメラ、録音等の禁止のアナウンスかと普通に思ったら、続く言葉が意外でした。(笑)
「本日演奏するバンドは、メンバー間での事前打ち合わせを一切しておりません。気持ち悪いコード進行や、変な終わり方をする場合があるかもしれませんがご了承ください。なお、1曲目はメンバーでジャンケンを行い、負けた人が演奏を開始して周囲が合わせる方法で始まります。」とのこと。
メンバーが登場してジャンケン。キーボードの方が負けて、鍵盤から開始でした。
即興音楽バンドの緊張感が伝わってきて、なかなか観ていて楽しめるバンドでした。MCも面白かったし。時々、メンバー同士のアイコンタクトや、身振り等での指示の出し合いで曲が進行していました。
音楽ジャンル的には、ジャズとロックとフュージョンを合わせたような感じでしょうか。(フュージョン自体が融合という意味があるから変な用法か?)
正式メンバーのギタリストさんが米国に武者修行に行っていて不在とのことで、第1部と第2部それぞれ1人ずつ、2人のゲストギタリストさんが演奏していました。
第1部でのMCで、SUDAPONYさん(28歳)がギタリストさんに「何歳?」と訊いて、「24歳です」と答えたら「バンドの平均年齢を下げてくれてありがとう。」との受け答え。笑ってしまいました。と、いうのはKunio Kishidaバンドで叩くときに、いつも岸田さんから「バンドの平均年齢を下げてくれているSUDAPONY!」と紹介されるからです。
確かに岸田さんのバンドの時は、他のバンドのメンバーの平均年齢は50歳ぐらいだから分かるけど、SUDAPONYさん、きっと一度言ってみたかったんでしょうね。(笑)
「次のは、路上で演奏するときに観客が集まってくるときもあるし、さ〜っといなくなってしまう場合もある曲です。自分達ではインドと呼んでいる曲です。」と言って、ベースさんが弾き始めたときに、「このベースラインがダメな方は手を挙げてください、すぐやめますから。」と言ってスタートしました。(笑)
でも、 先日購入したCDの中では一番ロックしてて、僕が気に入った曲でした。
途中、ギタリストさんが、ハーモニックマイナーも使ってソロを弾いていました。(実は、最近ハーモニックマイナーがマイブームになっているのでオオッと思いました。)
15分の休憩を挟んで第2部。ギタリストさんはジャズ系の方でした。
ギルドのギターを弾いていました。
中央よりもやや下手側の立ち位置で、僕と反対側を向いて弾いていたので指板が殆ど見えませんでした。なので、Kunio Kishidaバンドでは後ろの方にいて、いつも殆ど見えないSUDAPONYさんのプレイをじーっと見てしまいました。
メジャーデビューしているのだから上手なのは当たり前ですが、ギミック的な技としてスティックを回転させて叩くプレイを、単発ではなく何度も連続して行っているのがスゴイと思いました。あと、時々片手でシンバルを下から叩き上げつつ、同時に反対の手で叩き下げるのも個性的に見えました。
SUDAPONYさんが「このバンドは曲が終わるとほっとする」というのも頷けるものがありました。即興演奏バンドだから、見ているほうもこの後どうなるのか、という緊張感があります。
キーボードさんも「ここで終わりたいと思っても、え?まだ続けるのという感じがあったりして、、、」とか言っていました。こういうのは、一発合わせのコピーセッションでも経験します。
ellmerのフライヤーを見ると「100% Jam Band」と書いてあるのですが、この日「初めて作曲しました。これで2%ぐらいは即興バンドではなくなりました。」という曲を演奏していました。
キーボードさんが「実はカンペもここにあります。」と紙を観客に見せていました。「曲が決まっているということは、間違えるということが許されないので緊張します。」と言ってました。
こういう縛りはコピーセッションも一緒ですね。ソロとかはアドリブで弾けるのは一緒だと思いますが。
他の即興の曲が終了した後のMCで、キーボードさんが言い訳のように「ベースラインが違う方に行くと、それに合わせるしかないんです。」と言ったら、ベースさん「いや、その前にドラムのフィルが入ったから。」 そうしたらドラムさん「え、俺のせいかよ? その前にギターがそれ風に弾いたからだよ。」と言ったら、キーボードさん「ギターに指示を出したのは俺なんだけど。」と一巡していました。(笑)
お茶らけたアンコールも楽しく、皆さん即興演奏が上手で、フランク・ザッパのバンドに似た雰囲気があったような気がします。(木琴とかラッパとかは入っていないとか、猥雑な感じはありませんが。もっとも、僕はザッパのライブはビデオやCDでしか知りませんけど。)
アンコールも含めて終了したら23時になってました。実に3時間以上のインプロヴァイゼーションのライブ。
今度は路上でも観てみたいです。