今回の
ヤン・アッカーマンのライブは休憩15分を挟んでの2部構成で、トータルで2時間半ほどありました。
先日記事に書いた
ブルノートで見たウエットン/ダウンズや
同じくスティーヴ・ハケットの2倍の長さです。
シンセサイザーの美しいイントロとともに、ヤン・アッカーマンのバイオリン奏法のギターで始まりました。もうこの音を聞くだけで、明らかにヤン・アッカーマンの音です。
しかしSGやレスポールでバイオリン奏法が出来るヤン・アッカーマンは、かなり指が長いのでしょう。僕はストラトであればできるけど、レスポールだと小指をボリュームに架けると、ピックを持つ指がブリッヂのあたりにようやく届く程度です。
ギター弾かない人には何の事か分からないかもしれませんが、バイオリン奏法というのはジミーペイジがバイオリンのボウで弾くあれではありません。
ボリュームをゼロにしておいて弦を弾くとともに、ボリュームを上げるという弾き方です。こうするとバイオリンのような音に聴こえるため、このネーミングが付いています。
第1部ではソロになってからの曲、フォーカス時代の曲もたくさん弾いて、素晴らしい演奏でした。フォーカスU、フォーカスVなどはすごく感動しました。これらの曲を聴くと、なんだかヨーロッパの風景が目に浮かぶような気がします。
MCで「30年ぶりに日本に戻ってきた。」と言うのを聞いて、あれ?と思いました。
と、いうのは93年のハウステンボスでのジャズフェスティバルに出演しているから、
13年ぶりのはずだからである。
「次の曲は・・・、言わないでおこう」と言って弾き始めたのは、悪魔の呪文(原題Hocus Pocus)でした。コージーパウエルのソロCDや、ギタースピークのCDに参加したときも、この曲のリフを鳴らしており、ヤン・アッカーマンのトレードマークといっても過言ではないような気がします。アコギを弾く
最近の動画でも最後にこのリフが少し出てきます。
第1部のラス前にシルビアも演奏しました。この曲の邦題が「いとしのシルビア」という題名だったことは、本日リアルタイム世代のYさんから聞いて初めて知りました。
これが終わるとヤン・アッカーマンが「ラストに可能ならハウスオヴザキング弾くけど」と言ったときに観客の反応がないので、「ハウスオヴザキング聴きたくないの? じゃやめようかな。」などと言うので、「その曲僕好きです。やって下さい!」と反応してしまいました。観客少ないし近いので、声がステージに届くのがなんだかいいですね。^^
ハウスオブザキングはアレンジされていて、セルフカバーといった感じでした。
休憩になり、あたりを見渡すと観客の年齢層はかなり高い。僕の世代が一番下の年齢層という感じであった。「流浪の宮殿」のライナーノーツを見ると、ヤン・アッカーマンは73年のメロディーメイカー誌の人気投票ギタリスト部門で、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックといった人たちを抑えて堂々1位を受賞したことがあるとのことである。この頃に聴いていた人たちが多いのであろう。
しかしそのギタリストが観客動員50人ではなぁ〜。(溜息)
第2部のためにヤン・アッカーマンがステージに現れました。そしてSGを持って、次のようなことを言いました。「このギターは20年ぶりに使うから故障するかもしれない。でも、ギターテクがいい状態にしてくれているから大丈夫だ。」
演奏を始める前に、横にいるYさんが「イラプションやって〜!」と言いました。ヤン・アッカーマンがちらりとこちらを見たので、僕も「イラプショーン!!」と大きな声を出しました。しかし、演奏したのは別の曲でした。
別にギターの調子悪くなったようには僕には見えなかったのですが、1曲目の途中でアッカーマン氏はギターテクにSGを渡して、レスポールに交換しました。大阪公演では使用しなかったというブラックビューティーの登場です。フォーカスがヒットした頃の映像を見ると、黒いレスポールカスタムを弾いているシーンがよく出ています。同じギターかもしれません。前回書きましたが、ブリッヂが見慣れないゴールドのアーム付きになっていて、フロントトーンのツマミがなくなっており、代わりにスイッチが付いています。
ふと気がつくと、ステージから一番前のテーブルまでは2mくらい間が空いています。
変な例えですが、なんだかレースをやっていてコーナー侵入の際、前車の内側に隙間があってイン側に入りたくなるときのような気分になりました。横にいるYさんに「前に行きません?」と誘って、二人でステージの真ん中ヤン・アッカーマンの真正面の至近距離に移動しました。
床に座って、見上げてヤン・アッカーマンの演奏を見ました。彼から2mくらいしか離れていません。最高の位置です。(^^)v
この距離感といい見上げた感じといい、これはまさしく昨年
バルセロナでブライアン・メイを見たときと同じ。
「前を向いている分には「ボトムライン」とか小さなライブハウスにいるような感覚でしたが、後ろを振り向くと「うわっ」というような観客(2万人くらい?)で驚きました。」と書きましたが、同じような距離と角度で、バッチリ弾いているところが至近距離で見ることができました。ただ、後ろを振り向くと、ここではやっぱり50〜60人でした。(汗)
曲が終わると、ヤン・アッカーマンが僕のほうを見て微笑んでいる。何かと思ったら、僕が持ってきたギターのソフトケースに書いてある文字を読んで「バーンズ・ロンドン!」と言った。そして、「僕も持っているよ。」というので、「本当?」と返答しました。
ヤン・アッカーマンの声はマイクを通しているので後ろの人にも聴こえているのですが、ソフトケースが見えないかもしれないので、大きく上に掲げました。
観客少なくスカスカだから、後ろからも見えて必要なかったかもしれませんが。(汗)
この後、イラプションを演奏しました。Yさんと僕が叫んだから応じてくれたのか?
まさか、そんなわけないですよね。(笑)
例の泣きのギターを弾いたあと、途中にいろいろな曲を挟みながら、最後にまた泣きのギターに戻り、20分くらい弾いていた気がします。でも、ムービングウエイブスB面まるまる1曲の組曲ではなく、間に挟んだのは別の曲でした。 イラプション、最高でした。こういうギターが弾けるようになりたいです。
近くで見るヤン・アッカーマンの奏法は、それはもう見ていて素晴らしいものでした。 バイオリン奏法や、ピックを使わずに指で弾くときもあり、フレーズの合間に入れるハーモニックス、本当に素晴らしい奏法でした。 速弾きの時のピッキングは、今の高速ギタリスト達とは違う、当時のギタリスト達、リッチー・ブラックモアと同じオルタネトピッキングです。
スイープ奏法とか、その他最近の技とどっちがいいかとかは好みに分かれますが、、実は僕はオルタネイトピッキングしかできません・・・。(汗)
第2部が終了し、アンコールもありました。 曲は「最新作のシーユーから」と言っていましたが、
「スローマン」という曲でした。 このCDは聴いたことがないので、知らない曲です。ステーブンキングのどうのこうのって言ってました。タリスマン、キャリーというキングの作品と同じ題名の曲を確かコージーパウエルのソロ作品でヤン・アッカーマン弾いているし、もしかしたらアッカーマン氏は彼のファン? この曲も結構良かったです。
演奏が終了しtてステージを去るときに、ステージ上のヤン・アッカーマンに手を差し出したら握手してくださいました。
Yさんと一緒にペダルを見たらマルチでした。LINE6と書いてあったので、コルグのものです。Yさんによると、そのなかで最高級グレードのものらしい。
ギターテクの人が、黒いレスポール、ブラックビューティーを片付けに来たので、「これは、フォーカス時代のものですか?」と訊いてみた。
彼「分からないけど、ビンテージだと思いますよ。」との回答。
僕「ブリッヂは交換してありますね?」
彼「そうですね。」
僕「このスイッチ(ポッドの代わりに付いてるもの)は何ですか?」
彼「すみません、分かりません。実は私はドラマーなんで、ギターのことは良く分かりません。」
僕「え?ヤン・アッカーマンがあなたのことをギターテクって言ってませんでしたか?」
彼「いえ、僕はただの楽器運びです。」
僕「SGからこのギターに交換するときに、何の問題もなく故障したようには見えなかったのですが、あれはこのギター弾くための演出だったのですか?」
彼「ご想像にお任せします。(笑)」
というようなことがありました。
その後にサイン会がありました。
サイン会はこんな感じでした。 ここで僕が彼に質問したのは、上にも書いたように、93年にジャズフェスティバルで九州のハウステンボスに来ているのに、ステージで「日本に来るのは30年ぶり」とやたら連発していたので突っ込みを入れたわけです。(ヘタレ英語ですみません!)
「飛行機に16時間乗ってきたら、アムステルダムや港もあるし、カフェもある。 日本にいるなんて思いもしなかったよ!」とおっしゃっていました。
ハウステンボスの写真を見ると、ヤン・アッカーマンさんが言うことも納得できるような気がします。僕もこれ見て、日本だとは思えないです。(汗)
(写真提供:PEPPER軍曹さん)
持って行ったギターがどうなったか、じらしてスミマセン。>さもさん